新書「スマホ脳」感想

今、話題の書「スマホ脳」の感想です。

この本は一言で言えば「スマホやSNS、インターネットは便利ですが色々と弊害もあるので注意しましょう」という、当たり前と言えば当たり前の内容です。しかし、様々なデータや具体例などを用いて論理的に説明されており、世の中のお母さんが「スマホばっかりやってないで勉強しなさい!」とか言うよりは説得力が増しています。

また、マジシャンとしては聞き捨てならない内容もあったので、今回はその点にフォーカスした感想です。

スマホのせいで何もかもつまらなくなる

皆さんは30分テレビを見るのと、30分スマホを使うのは、どちらが楽しいでしょうか?ほとんどの人はスマホだと思います。というより、たった30分の間すら、テレビを見ながらもスマホを手に取ってしまうのではないでしょうか?

本書によると、スマホは「楽し過ぎる、魅力的過ぎる」そうです。そのせいでテレビや映画どころか、目の前の人との会話よりもスマホを使う方が楽しくなってしまうそうです。(もちろんここで、人と会話するときはスマホをしまっておきましょうという当たり前のアドバイスもあります。)

また、それどころかスマホが視界に入るだけで会話の内容や映画のストーリー、学校の授業などが頭に入りにくくなってしまうそうです。実は著者自身も、以前のようには読書などにのめりこむことができなくなったと言っています。

これはマジシャンや他の芸能をする人にとっても由々しき問題で、多大な費用と労力をかけた映画や、目の前にいる親しい人すらスマホに勝てないのですから、基本的にほぼすべての芸能はスマホの楽しさに勝てないことになります。

生でいかに素晴らしい芸能が演じられようともスマホの通知は気になりますし、すごいマジックを見ても、そのマジック自体を楽しむというよりは「これを動画に撮ってSNSに上げようかな」などと考えたりします。

スマホの普及によって、相対的に芸能を楽しむ気持ちは下がってしまったといえそうです。これは世界的な流れですから、そう簡単に抗うことはできなさそうです。

マジシャンにできること

悲観的になっても仕方ありませんので、マジシャンにできることを探してみます。

まず第一に、「こんなにも楽しいスマホがあるというのに、私なんかのマジックを見てくれてありがとう」という感謝の気持ちを持つことです。「私なんかのマジック」というのは卑下しているわけではなく、それくらい(本書によると)スマホには麻薬的な魅力があるのです。

その上で、生の芸能の価値とは何でしょうか?非常に逆説的ですが「スマホを使えないこと」ではないでしょうか?

例えば多くの劇場や映画館で、「携帯電話の電源をお切りください」とか、「マナーモードにして音や光が出ないようにしてください」などとアナウンスがあります。スマホを使えないのは不便ではありますが、数分に1回スマホをチェックする現代人にとって、逆にある程度まとまった時間スマホが使えないというのは、ある意味非常に贅沢な時間なのではないでしょうか?

実際、皆さんもスマホを片手に自宅で映画を見るのと、スマホの電源を切って映画館で見るのとでは、映画自体の面白さが何倍も違うはずです。いや、映画館にでも行かなければ日常で2時間もスマホの電源を切ることがないくらいです。

デジタルデトックスという言葉も流行っていますが、もはや現代人にとってデジタルデトックスには強制力が必要なのではないでしょうか?自分の意志だけで長時間スマホを触らずに何かに集中するのは難しくなってきています。

その点、趣味としてのマジックもデジタルデトックスの良い機会です。特にスマホやパソコンを閉じて、本を見ながらマジックの練習をするのは現代人とは思えないほどアナログで、非常に贅沢な時間です。また、誰かにマジックを習うのも、当然教わりながらスマホを見るわけにはいかないので強制的なデジタルデトックスになります。

もちろん、マジックでなくとも構わないのですが、この「スマホ脳」という本が大ヒットしていること自体、スマホの脅威に流される人ばかりではなく、デジタルと適切な距離を取ろうとしている人が多くなってきた証拠でもあります。

このような社会の中でマジシャンも価値を提供していけたらと思います。

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