以前、フローティングテーブルとゾンビボールを比較考察した記事を書きましたが、年月が経って考えが変わった部分もあるので、改めて記事にしました。
フローティングテーブルは演じ手によって、「こんなに素晴らしいマジックがあるのか」と思わせるような作品になることもあれば、あまり不思議に見えないこともあると私は思っています。
実際のところ、フローティングテーブルは何も考えずにただ演じただけで受ける鉄板ネタではないと私は思います(フローティングテーブルだけでなく、ほとんどのマジックがそうかもしれませんが)。
技術的な問題に関しては、各自で研究、練習するか、指導を受けるなどするしかありません。
特に、フローティングテーブルはできる/できない、上手い/下手の判断が自分では難しいタイプのマジックです。上手な方の指導を受けるしかないかもしれません。
それでは仮に、技術的に上手に演じられるようになったとして、次に考えるべきは「なぜ浮くか?」です。
ゾンビボールの場合、弱点の一つとして、謎の鉄球を使うという、道具の特殊さがあります。
しかし、私見ですが、ゾンビボールの場合、あの謎の鉄球だからこそ、鉄球がまるで自分の意思をもっているかのように動くという特殊な設定が受け入れやすいとも思います。
フローティングテーブルの場合、道具自体の自然さは増したものの、それがそのまま裏返しの弱点として、「なぜテーブルが浮くのか」という問題が発生しているように思うのです。
これはフローティングテーブルを演じるすべてのマジシャンが向き合うべき命題です。
この問題への足掛かりとして、いくつか例を挙げてみようと思います。
1.マジシャンの力で浮く
まず最もシンプルに、「マジシャンの魔力によって浮く」というパターンが考えられます。
マジシャンは、その魔力を見せつけるために、テーブルを浮かすのです。
その場合、テーブルを浮かす理由は、「できるだけ重くて大きいものを浮かせたいから」かもしれません。
2.テーブルの力で浮く
「このテーブル自体が不思議なテーブルなのだ」というパターンも考えられます。
その場合、そのテーブルにまつわるストーリーが必要になります。
マジシャン自身はどこでそのテーブルを手に入れたのか、そのテーブルにはどんないわくがあるのか、などです。
たとえば骨董市で見つけた古いテーブルで、前の持ち主は実は魔法使いであり、だからこのテーブルにも魔力がある、などといったストーリーも考えられます。
そしてその場合、骨董品らしい見た目にしなくてはいけません。
3.観客の力で浮く
これは考案者のロザンダー自身も近い演出を行っていたことがあります。
観客の精霊?のようなものを借りてテーブルの上の小箱に入れるとテーブルが浮くというような演出だったと思います。
3つの例を挙げてみましたが、これらを意識的に演じなくてはいけません。
特に、これらの2つ、またはそれ以上をミックスさせる場合は、明確に演じ分けなくてはいけません。
そうでないと、テーブルをマジシャンが操っているのか、テーブルが自分で動いているのか、主題が不明瞭になるからです。
また、そもそもの雰囲気として、大きく重いテーブルが浮くのだから、軽く演じすぎてはいけないということもあります。
むしろ、「テーブルが浮いても無理はない」というくらいの雰囲気をつくりあげることが大切です。
すでに定番になりすぎているフローティングテーブルを、生かすも殺すもマジシャン次第だと思います。
