先日、渚晴彦さんが亡くなってしまいました。私にとっても非常に思い出深く、お世話になった尊敬するマジシャンでした。
思えば、私が日本奇術協会に入ったのも、渚先生が会長の時でした。
日本奇術協会に入会(準会員)するには、理事2名の推薦が必要ですが、当時、私は渚先生が主催していたイベントのマジックコンテストで優勝し、それを見ていた藤本明義さんと師匠のダーク広和先生(両氏ともに当時理事)から推薦をいただいたのでした。そのおかげで今でも様々なイベントに出させてもらっています。
コンテストでは出場者全員に対し、渚先生は非常に実践的なアドバイスをされていました。今のマジックコンテストに勝つにはどうするか、という視点ではなく、いかに目の前の観客を楽しませるか、安定した演技ができるか、という視点でした。
また、レクチャーでは複数枚のカード・トゥ・ザ・ポケットを見たことがあります。
カード・トゥ・ザ・ポケットにはたくさんのバリエーションがありますが、渚先生は9枚使っていました。
しゃべりながら、何度もジャケットのポケットの中を観客に検めてもらいますが、カードが移動していきます。最後の1枚の消失は私も見たことがない技法でした。
大変難しいマジックのはずですが、渚先生は非常に手馴れていて、今まで何度も実演してきたであろうことが窺われました。
カード一組あればいつでも実演できて、数十人~百人以上でも通用するマジックです。
これぞスライハンドマジシャンのトークマジックだと感心しました。
日本のマジック界には、当然ながら良い部分も悪い部分もあります。それでも奇術協会入会当初、渚先生は私を含む若手マジシャンたちに対し、日本のマジック界の良い部分を見せようとしてくれていたように思います。
私たちにとって、とても優しい大先輩でした。
