予言の書き方、作り方

予言のマジックは元々メンタルマジックに分類されますが、予言のマジックにも様々な雰囲気のものがあるので、メンタリストやメンタルマジシャンでなくとも演じる人は多いと思います。今後、予言マジックを演じる人はもちろん、様々な小道具に応用できる考え方だと思いますので、ぜひ読んでみてください。

予言マジックといっても、あまりに種類が膨大なため、非常にシンプルな次のようなマジックを例に考えてみます。

「今日は一つこれから起きることを予言してきました。こちらの紙に書いてありますので後で見てみましょう。ここにトランプがあります。よく混ざっていますね?(お客さんに1枚選んでもらう)そのカードは何でしたか?ハートの5でしたか。それでは予言を開けてみましょう。ハートの5です。」

このような感じです。さて、この場合、「予言」というものはどのように書いて作っておいたら良いでしょうか?例えば手書きとワープロではどちらが良いか。メモは単に四つ折りで良いのか、封筒に入れておくのか。紙質はコピー用紙なのか、高級なデザイン紙なのか。はたまたラミネート加工をするのか?

これらを判断するとき、まず予言とは何か、マジックショーとは何か、そもそもショーとは何かを確認しておきたいと思います。

映画や演劇も含むショーの公演は、基本的には台本やプログラムがあって、その通りに進みます。同じ映画なら10時の回と13時の回で結末は同じですし、演劇も昼の部と夜の部で普通は同じ筋書きですね。そういう意味ではすべてのショーは予定調和で、予言マジックとある意味似ています。

しかし、ここでひとつ矛盾が生じます。予定調和のショーはお客さんにとってハラハラドキドキしないため、つまらないのです。でもお客さんはほとんどすべてのショーが予定調和だと知っています。

例えば役者さんがある芝居の中で、彼女に声をかけようか、かけまいか迷っているシーンがあったとします。でも役者さん達は台本を読んでいるので、この後どうなるか知っています。でも演じている最中は本当に迷っているつもりで自分たちにもこの先どうなるかわからないという設定で演じます。

そうすることで、それを見ているお客さんは本当は台本があって予定調和であることを知っているにもかかわらず、緊張感をもって観ることができます。そこが芸能芸術の面白いところです。

もうひとつ例を挙げると、ディズニーランドなどのテーマパークのアトラクションについても同じことが言えます。アトラクション中によく、「トラブル発生!」などの事件が起きます。お客さんは2回乗れば2回とも同じタイミングでトラブルが起きることを知っていますが、それでも予定調和を意識せずに楽しむことができれば、それは良いアトラクションだということになります。

さあ、ようやくマジックの話に戻りますが、冒頭のトランプの予言マジックは、もし仮にもう一度同じマジックを演じたとしたら、同じカードが選ばれるのでしょうか?それでは予言マジックにはなりません。どちらかというと「毎回同じカードが選ばれるマジック」です。それはそれで不思議ですが、予言ではありません。

予言はあくまで、演者が何らかの予想をし、それが当たるというマジックですから、結末は毎回違うはずです。それを基に予言の書き方、作り方を考えます。。

もし、気軽にマジックをちょっと見せる場合は、予言は普通のメモ用紙に手書きで、四つ折りにするくらいが普通です。予言の紙はマジックが終わればすぐに捨てられてしまうのですから、高級な紙を使ったり、わざわざワープロで印刷しているのは不自然です。

ある程度しっかりしたマジックショーなら、手書きでももちろん良いですが、ワープロ印刷されていたり、封筒に入っていてもおかしくはありません。紙質も少ししっかりした画用紙に大きく書かれている方が見やすいかもしれません。それでも、本来使い捨てのはずの予言をわざわざラミネート加工するのはどうでしょうか?ラミネートは防水などの耐久性を上げるための加工で、再利用する意図が透けてしまって却って効果を損ないます。

予言のリサイクルについては気を付けなくてはいけません。予言はあくまで今日この日のために、あなたのためだけに用意してきました、ということでなければ特別感が無くなってしまうからです。

最後に、予言の紙を使わない、もっと手軽なトランプの予言方法をご紹介しましょう。特にテーブルホッピング(コロナ禍においては死語ですが)のような環境では、あまり仰々しい予言は不自然です。なぜなら、さっきのテーブルと、この後のテーブルでもまた予言するの?という感じになってしまうからです。

一枚のカードを予言するとき、色と数字が同じカードを予言として抜き出して伏せて置いておくだけです。例えばハートの5を予言したいならダイヤの5を予言とします。お客さんが選んだ後に予言と並べれば視覚的にも予言が一致したことが良くわかります。非常に古くから使われている方法ですが、予言の本来の趣旨に反しておらず、よくできた方法だと思います。

「なるほど、ダーク和秋は予言マジックひとつでも深く考えているんだな」と思っていただけるかもしれませんが、実際は最近ようやく気付いた程度で、これまで矛盾だらけの予言マジックを色々と考えたり演じたりしていました。今後とも、より質の高いマジックを創っていきたいと思っております。

まとめ

  • 予言は演じる規模・環境によって不自然でない書き方、作り方を考える
  • 予言は基本的に使い捨てであることを意識する
  • 予定調和を予定調和と思わせないのが芸能芸術

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