どうしても上手くいかないときのおまじない

今年最後の記事にどんなテーマがふさわしいか考えた結果、私の考えたおまじないをひとつご紹介することにしました。

これはマジックに行き詰まったり、上手くいかないときのおまじないです。

"Small Miracle"

小さな奇跡という意味です。大きな奇跡を起こそうとしても起こせない、または無理が生じてしまうときに、小さくても良いから奇跡を起こそうという精神です。たとえ小さくても奇跡は希少で貴重で十分価値のあるものです。

上手くいっているときに拡大路線に走るのはある意味当然で、むしろ良いことだと思います。しかし、忘れてはいけないのは、人々が感動するのはむしろ非常に小さな、微細な点だということです。

例えば、レストランの経営が上手くいって、店舗を拡大していったとしても、お客様が感動するのは綺麗に磨かれたひとつひとつのカトラリーや、たった一口の美味しさであったりします。

マジックも同様で、どんなに売れているマジシャンであっても、まず大切なのはお客様の前に姿を現したときの雰囲気、そして最初に奇跡を起こした瞬間であったりします。些細なことをおろそかにしてはいけないのだと思います。

マジックそのものにもSmall Miracleは適用されます。Mr.マリックさんが有名になったマジックのひとつに「100円玉にタバコを通す」というものがありますが、まさに小さな奇跡です。

反対に、大きなマジックの代表であるイリュージョンも、道具そのものは大きいですが、その不思議さを最大限発揮させることを考えると、非常に小さな工夫の積み重ねであることがわかります。

スライハンドでも同様で、ミリオンカードで100枚出すよりも200枚出す方が偉いとか、ジャンボカードを出す方がすごいとか、四つ玉はダメで八つ玉は素晴らしいとかは見当違い甚だしい理屈です。

トランプがたった1枚出るだけでも、ボールひとつ消えるだけでも、それは奇跡なのだということを理解しなくては、先に進むことはできないのです。

Small Miracleは私がマジックを通して知り得た、真理のひとつであると信じています。マジシャンはもちろん、マジシャンでない方にも、この小さなおまじないを役立てていただき、その身を救うことができたらと思っています。

それでは、良いお年を。

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