私が日頃、カードマジックを指導する際、これだけはできた方が良い、と思っているテクニックが「ジョグ」です。場合によってはシャッフルより重要で、これさえできれば演じられるマジックもあるほどです。そこで今回はジョグの解説動画を撮影し、YouTubeに投稿しました。無料公開ですので是非見ていただけたらと思います（動画は「続きを読む」から）。
「とうとう種明かしを始めたのか」と思った方、ご安心ください。ジョグはカードの基本の扱いの一つで、シャッフルやカットと同様、これ自体が種明かしにはなりません。
YouTubeでマジックを覚えるのが当たり前となった現在、基本中の基本となるテクニックやハンドリングが体系的にまとまったものが存在せず、存在したとしてもそれを見ていない人がほとんどとなると、マジックの世界は以前にも増してカオスになってしまうなと、つくづく思います。
とはいえ、私自身もなかなか理想を実現できてはおりません。例えば、マジックのレッスンをするとき、基礎練習と作品練習があったとします。おそらくその両者を半々くらいで行うのが良いとは思うのですが、ついつい作品練習に偏ってしまいます。
その原因は、私が「基礎練習ばかりでは退屈してしまうのではないか」とついつい慮ってしまうからです。どんなジャンルであろうと基礎練は辛いしつまらないものです。学校の運動部の活動であっても、走り込みや筋トレ、素振りなどは苦痛で、練習試合などが面白く感じるものです。しかし、練習試合ばかりでは上達しないどころか、クセがひどくなって却って下手になることすらあります。多少嫌でも、基礎練をしっかりやって上達した方が、中長期的に見れば楽しさ、面白さは増すはずです。
カードで言えば基礎練に最も適した書籍はロベルト・ジョビーのカードカレッジシリーズだったと思いますが、今ではすっかり手に入りにくくなってしまいました。基礎練は最初は面倒でも、やってみると徐々に楽しくなってくるものです。この本もぜひ再版されないかなあと思っています。
