これから秋のイベントやおまつり、クリスマスシーズンに向けて様々なところでマジックをする方も多いと思います。私も夏休みシーズンから秋、冬にかけて、日々様々なイベントに出演していますが、その中でも子供向けのショーやイベントの出演というのも少なくありません。
私自身はキッズショー専門のマジシャンではありませんが、今までの経験や見聞から大切なことをお伝えしたいと思います。
子供にサカートリックを演じてはいけない
サカートリックというのはわざと失敗したり、種がわかったと思わせるマジックのことです。プロアマともにサカートリックは人気がありますし、実際大きなリアクションが取れるマジックではあります。
しかし、優秀なマジシャンほど、サカートリックの危険性を認識しています。それはマジシャンと観客が敵対してしまう危険です。
そもそもサカートリックを笑って見てくれる、というのは高度な常識と心の余裕が必要です。無理矢理言語化するならば、「マジシャンはマジックの種がバレないようにするものである。しかしそれに反してこのマジシャンは種がバレている。しかし、それを指摘するのは野暮である。だから軽く笑っておこう」というようなもので、これを子供に求めるのは無理です。サカートリックを観て子供が騒いでいるのは、あくまで騒いでいる(ネガティブな感情)だけであってウケている(ポジティブな感情)わけではないのです。
わざわざマジシャンの方から種に言及する必要はありません。サカートリックでマジシャンが自ら種を話題にすることで、その後のマジックもすべて種を探そうという気持ちで見るようになってしまいます。
ではどうしたら良いかというと、それはもっとストレートなマジックを見せることです。現象は出現、消失、移動など何でも良いですが、なんらかの魔法の作用によってその現象が起きたという納得感を出すことが大切です。
フラリッシュは意味がない
子供相手にフラリッシュを見せてはいけません。少なくともほとんど意味がありません。
そもそもフラリッシュに対する感想は基本的に「上手いね」というものです。しかし、子供は大人に対して「上手いね」と褒めるよりも、自分が大人から「上手いね」と褒めてもらいたいのです。だからマジシャンが子供から褒めてもらおうとしてはいけません。
しいてフラリッシュを見せるとしたら、綺麗なウォーターフォールシャッフルやリボンスプレッドなどを「面白いですね、綺麗ですね」という感じで見せるのが良いと思います。決してマジシャンの上手さを見せるという感じではありません。
椅子はあった方が良い
子供向けのショーをしたことがある方なら、子供が床に直接座っている状況に出会ったことは多いと思います。
椅子を用意することが不可能な場合は仕方ありませんが、私の考えではできれば椅子があった方が良いと考えています。
理由としては、シンプルにその方が子供が快適にマジックを見られる点、床に直接座ることでだらけた雰囲気になることを防げる点、視線の高さががマジシャン(基本的に立っている)と近づくことでコミュニケーションが容易になる点などが挙げられます。
床に座っていると隣の子にぶつかったり、ちょっかいを出したりといったことが起きやすくなりますし、目線が低すぎて、マジシャンと目を合わせるのが非常に難しくなります。
椅子に限らずですが、ショーを始める前に環境を整えるのがすごく大切です。もちろん、会場の方の協力も必要となりますが、一緒に良いイベントをやりましょうという気持ちで準備できたらと思います。
おわりに
最後に、非常に抽象的になりますが、私としては子供たちにとって一時の娯楽というだけではなく、何か少しでもプラスになるマジックをしたいと思っています。それは単に勉強になるということではなく、何らかの人生のプラスになるようなショーができたらという意味です。
ちなみに、今後一度でも子供向けのショーを演じる機会がある方なら必読の書がこちらです。
キッズショーに関して圧倒的な経験値のある著者が、子供の年齢別に実際の手順や台詞まで紹介してくれています。しかし、読んだだけではできません。ぜひ実践で試行錯誤してみてください。
