秋のキッズフェスタ、出演しました

去る10月24日、25日、国立オリンピックセンターで開催されました秋のキッズフェスタに日本奇術協会として参加し、子ども向けのミニマジックショーとワークショップを行いました。

演目や感想、考えたことなど、ご紹介しようと思います。

2日間の出演者は私とブラックサタンさん、若葉さんの3人です。

ブラックサタンさんは見た目は覆面をしていて恐いですが、実際にはとっても優しいマジシャンです。

3本ロープやスプーン曲げ、エレクトリックデックなどを演じていました。以前も拝見しましたが、特に3本ロープの構成が素晴らしく、お子様も保護者の方も驚いていました。

ワークショップは紐の手品とお札の手品で、豪華2本立てです。どちらも非常に単純な小品ですが、小学校低学年やそれ以下のお子様のことも考えると、丁度良いと思います。

若葉さんは、ハロウィンのイラストが描かれた大きなカードを使ってモンテ風のマジックや、3本ロープなどを演じていました。特にハロウィンのモンテは道具も非常によくできていて、イラストも可愛らしく、良かったと思います。

また、お二人が3本ロープを演じていることからも、3本ロープが如何にプロマジシャンに愛用されているかがわかると思います。(お二人の出演は別日のため、演目が重なる心配はありません)

私も常々考えていることですが、3本ロープは初心者向けのマジックではなく、初心者から上級者、プロに至るまで、一生付き合っていけるマジックなのだということです。

若葉さんのワークショップはおばけのパドルでした。実を言うとパドルも初心者向けマジックの定番とされてしまっていますが、実際にはとてつもなく優れたマジックです。

私は主にカードとコインを演じました。客席の配置がコの字型に1列のため、クロースアップを演じるのにとても適しているからです。

私は珍しくコインフラリッシュをやりました。でもいきなり見せるのではなく、まず「何か習い事はやっていますか?頑張っていることはありますか?」のように問いかけました。そうすると、皆元気よく、答えてくれます。最近のお子様は習い事をたくさんやっている子が多いようです。

そこで「ではそういうスポーツや音楽、勉強がもっと上手になるためにはどうしたら良いか知ってますか?」と問いかけました。そう聞かれると子供たちは急に黙って考え始めます。やがて必ず誰かが答えてくれます。「一生懸命練習する」

もちろんそれが正解です。そこで私は「その通り!マジシャンもマジックを一生懸命練習するのですよ」と言って、コインフラリッシュを1つずつ丁寧に見せていきます。

これが私の子供に対するフラリッシュの見せ方の答えです。フラリッシュで上手さを見せつけても、子どもは大人であるマジシャンを褒めてはくれません(ただし逆は異なります。子供のマジシャンがフラリッシュを演じれば、大人の観客は必ず褒めてくれるでしょう)。

だから上手さを見せつけるのではなく、練習の大切さ、努力の大切さを伝え、マジックでも、マジックでなくても良いから、自分の好きなこと、やりたいことに向かって一生懸命頑張ってほしいというメッセージを伝えることにしました。

自分なりに、一時の娯楽だけではないマジックを提供できたのではないかと自負しています。

もちろんコインもフラリッシュだけで終わらず、その後は不思議なマジックを続けます。

コインマジックはテクニカルでマニアックなイメージがありますが、その本質はこの上ないシンプルさにあると思っています。コインが出る消えるというのは小さな子でも十分理解できる奇跡なのです。

カードもここ数年で整理、ブラッシュアップした子供向けの手順です。といっても不思議さに関しては大人向けと全く変わりません。子供は大人が思っている以上に論理的な思考を持っています。だから表面的なごまかしではなく、究極的な不思議さを提供する必要があるのです。

では子供向けのカードマジックで私が工夫したことは何かというと、知識をさりげなく付けてあげることです。未就学はもちろん、小学生であっても絵札やスートの名称は曖昧なものです。そこでエースやキングなどの名称、ダイヤやクラブなどのマークの呼び方を、マジックを演じながら少しずつ身に付けてもらう構成にしているのです。

これにより、子どもたちは私のマジックを楽しんでくれるだけでなく、今後ほかのマジシャンがカードマジックを演じたとき、より良いお客様になってくれるでしょう。これが私の思想です。

私のワークショップ部分はオリジナルのカードを使った動物当てでした。マジックを見せた後、いきなり種明かしをせず、隠された数学的原理を考えてもらうようにしました。「数学的原理」というと難しそうですが、そもそも数学の本質とは目の前の事象になんらかの規則性や法則性を見出すことです。それは難しいことではなく、誰でも持っている感性・感覚でできることです。子供たちは全く数学とは思わないうちに、小さな数学者になっていたのです。

このように、非常に短い時間ではありますが、できるだけ子どもたちに(もちろん保護者の方にも)楽しんでいただき、さらにほんの少しでも人生にプラスになってほしいと願って構成したワークショップです。2日間でご来場いただいた皆様、お世話になった皆様、本当にありがとうございました。

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