シャッフルはカードを傷めない

巷ではシャッフルの方法によってはカードを傷めると思っている人が一部いるようです。たしかにシャッフルに限らず、カードの操作に慣れない人が扱うと傷めてしまうことはあります。しかし、私はマジシャンとして、基本的にはあらゆるシャッフルでカードは傷まない、と言いたいです。

以前、マジックをやっている小学生の子が、「リフルシャッフルはカードが傷むから練習していない」と言っていました。お父さんかお母さんに買ってもらったトランプを大切に末永く使いたいという殊勝な気持ちは素晴らしいですが、そんなことを言っていたら上達が止まるだけです。マジックを志すならぜひ様々なシャッフルを練習してください。

私が調べたところ、ネット上ではファロー(フェアロ)シャッフルが特に傷むという意見が多いように感じました。ファローシャッフルとは、カードを半分に分けて縁と縁を押し付けるようにしてかみ合わせるシャッフルの方法です。

また、シャッフルによるカードの傷みを気にする人はマジシャンというよりはトレーディングカードプレイヤーに多いようです。私は全くプレイしないのですが、トレーディングカードによっては1枚何万円というプレミア価格がついているものもあるらしく、それだけ高価なものなら傷みを気にするのもわかります。また、そういったカードはそもそもファローシャッフルを想定していなく、バイシクルやタリホーのようにスムーズにファローできないのかもしれません。

あくまでバイシクルやBee、タリホーの場合ですが、ファローシャッフルでカードが傷むことはありません。ただし、初心者の方がファローを練習する過程で傷めることはあります。しかし、それを気にして練習しないというのは本末転倒ですから、正しい方法を確認したうえでどんどん練習していただきたいものです。

リフルシャッフルも同様です。上手くなれば、カードをしならせるのはわずかになっていきますので、少しもトランプは傷みません。むしろ新品のトランプは固すぎるため、何度かシャッフルした方が使いやすくなるくらいです。

とはいえ、トランプは紙である以上、半永久的に使うこともできません。どんなに丁寧に扱おうとも汚れていきます。わかりやすいのは断面で、断面の色が古びてきたら美しくありません。また、表面の摩擦も強くなりすぎると使いにくくなってきます。つまり、どのように扱おうともいつかは消耗してしまうのです。

カードは雑に扱えばよいというものではありませんが、かといってあまりおっかなびっくり使っても格好よくありません。訓練された美しいシャッフルによってトランプは輝きます。

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