NHK「超絶神業!マジックバトル夏の陣」感想

一昨日夜19:30からNHKで放送されたマジック番組「超絶神業!マジックバトル夏の陣」の感想です。

先日、日本奇術協会からメールがきて、今度NHKでマジックの特番が放送され、協会からもTanBaさんと藤山大樹さんが出演するからぜひ皆さんに見てほしいとのことでした。マジック好きの皆さんなら既に視聴済みかもしれませんが、まだ見ていない方はNHK+というサイトでで見逃し配信で見られるそうです。

私自身もよく人からマジック番組の感想を求められることもあるので、しっかりと番組を拝見し、せっかくなので感想もブログに書いておくことにしました。

まず一番に書いておきたいことは、どのような形であれマジックがテレビで取り上げていただけることは本当にありがたいことだと思っていて、ときにはマジシャンの間でテレビでの種明かしが問題になることもありますが、種明かしよりもまずいのはマジック自体がテレビに取り上げられず、人々から忘れ去られてしまうことだと思います。

今回の番組に関しては種明かしはないとのことでしたが、当初から少し気になっていたことがサブタイトルにもある「世界的なマジシャンを困らせろ」という文言で、種を暴くためならどんな無茶ぶり(無理な要求)もOKというような趣旨だったことです。

もちろんテレビ番組である以上は一人でも多くの方に見ていただかなくてはいけないということで、より刺激のある内容にしなければならないのは重々承知なのですが、私自身も一マジシャンとして、ついマジシャン側に肩入れしてしまうので、できればあまりマジシャンをいじめる感じにならなければ良いな、という思いで番組を見始めました。

実際に通しで見た感想としては、まず出演したマジシャンの皆さんが本当にお上手で、私も知らないマジックやわからないマジックばかりで、誰が見ても面白い番組だったんじゃないかと思いました。

全体的にはかなりwithコロナ時代を意識した内容で、随所で手指を消毒したり、リモート出演によるリモートならではのマジックなども多かった印象です。中でもトップバッターだった高橋匠さんがアルコール消毒をきちんと笑いに変えていたのはさすがと思いました。

気になる「無茶ぶり」についてですが、個人的にはやはりいらなかったかなと思います。というのもそれぞれのマジック自体の内容が素晴らしく、観客役の芸能人の方々も本編のマジックだけで十分満足されていたように見えたからです。むしろその後の無茶ぶりをひねり出すことが少々負担になっているようにさえ見えました。

テレビ制作に関して素人の私の意見としては、無茶ぶりを前面に出すのではなく、例えばこれだけコロナを意識した内容であるならば、「withコロナ時代の新しいマジシャン」というような感じのテーマでも、目新しさもありますし、良かったのではないかと思いました。

また、大樹さんやTanBaさんは無茶ぶりに応じられなかったマジシャンというような感じで紹介されていましたが、個人的にはむしろこれは誇るべきことかなと思いました。マジシャンは基本的に練りに練った完成形の演技を世に出します。つまりこれ以上短くすることはできないし、これ以上何かを加えるのは蛇足である、という状態までもっていった上で演じるのです。

ですから演技の後はもう何もする必要がなく、無茶ぶり自体が野暮というものです。だから私は無茶ぶりに応じなかったことはむしろ良いことだったと思っています。ただし、無茶ぶりに対するかわし方はマジシャンの腕の見せ所で、例えば、将魔さんの、「将魔さん自身が浮くことができますか?」という質問に対する答え「体重制限があるので痩せてから」というのは、上手く笑いに変える100点の回答で、さすがと思わされました。(その後、将魔さんは別の無茶ぶりには応じています。)

プロマジシャンは今後、クロースアップなどを演じるときに、もしかしたらお客さんがこの番組を見ていて、それに影響されて無茶ぶりをされることがあるかもしれません。ただ、その影響は微々たるもので、もともとマジックに対する無茶ぶりは今に始まったことではありませんし、プロマジシャンなら自分の演じるマジックに対する無茶ぶりにはある程度応じ方、かわし方を確立しているものだからです。

逆にこの番組を見た、マジックを自分ではやらない方には、今後実際にどこかでマジックを観たときに無茶ぶりをするのはおすすめしません。この番組を見てわかった通り、無茶ぶりによってマジックショーがより良いものになることはないからです。

また、アマチュアマジシャンで、今後マジックをしたときに無茶ぶりをされた場合について、これは本当に応じる必要がありません。むしろアマチュアの場合、「(実際にはかなり上手くても)マジックが好きで、下手ですが少しだけできます」というスタンスの方が演じやすいものです。

最後に、無茶ぶりの演出に関しては賛否が出てしまう可能性もありますが、この時期にマジックの番組を制作してくださった皆さんに感謝したいと思います。

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